Q&A
ウェスタンレッドシダーは天与の材質により、カナダ産針葉樹の中でも最も長寿命の樹種のひとつです。ウェスタンレッドシダーからはまっすぐで美しい長尺材を入手できることがたいへん喜ばれております。
<使いやすさ>
木目がまっすぐで均一であるウェスタンレッドシダーは、ノコギリ・カンナ・サンダーいずれの加工でも美しく使いやすい木材です。釘打ちも容易で割れが起きにくく、いろいろな接着剤が利用できます。
<耐久性>
ウェスタンレッドシダーの最も重要な特徴は優れた耐久性です。ウェスタンレッドシダーは針葉樹のなかでも最も耐久性があり、ほとんどのどんな環境条件のもとでも長年支障なく使用できます。
ウェスタンレッドシダーの耐久性はthujaplicnsと呼ばれる殺菌力のある抽出成分と、thujicacidという防虫性能のある抽出成分によるものです。
<音響効果>
音が木材に進入すると粘性抵抗が作用し、音エネルギーの一部は木材構成要素の振動エネルギーまた、熱エネルギーとして吸音されます。一般にこの吸音効果は木材の比重の小さいものほど高くなります。従ってウェスタンレッドシダーは吸音率が高く、優れた音響効果を期待できるわけです。
また表面塗装を施すことにより、逆に反響板として使うことも可能です。コンサートホール等の内装に好まれて使用されているのはこのためです。
<比重>
ウェスタンレッドシダーは含水率12%で、約368㎏/㎥と、針葉樹の中では最も軽量に属します。含水率1%の変化に対して重量は約3㎏/㎥変化します。
ルーフデッキングとして使用する場合にもウェスタンレッドシダーなら軽量なので、屋根に加わる固定荷重が軽減され、支持材の材料も少なくできます。
また運びやすく扱いやすいことも軽量ならではの利点です。
<寸法安定性>
木材に含まれる水分には、細胞空隙に含まれる自由水と細胞壁に吸収されている結合水とがあります。木材を乾燥すると、まず自由水が蒸散しますが収縮はおきません。さらに乾燥し続けると今度は結合水が蒸散し、木材は収縮を始めます。すなわち収縮の度合いは蒸散する結合水の量に比例しています。
他の木材と同じくウェスタンレッドシダーにも吸湿性がありますので、環境に合わせて水分を吸収したり、発散させたりします。しかしウェスタンレッドシダーは他の針葉樹に比べて収縮率が極めて低く、反ったり曲がったり割れたりしにくいのです。
<熱伝導率>
木材には優れた断熱性があります。夏には建物を涼しく保ち、冬には暖房費を節約できる…木材の大きな長所です。木材の断熱性はその密度に左右されます。低密度材の断熱性は最も優れていますが、これは細胞の空隙が多くあるからです。乾燥材の場合、この空隙に空気が入り断熱性が高まります。
低密度で空気を多く含んでいるウェスタンレッドシダーの断熱性は他の針葉樹やレンガ、コンクリート、鉄等と比べてはるかに優れています。たとえば含水率12%の場合、熱伝導率係数(K値)は0.11W/㎡℃です。
普通木材の生材は腐朽菌によって分解されやすく、カビも繁殖しやすく、また乾燥材も濡れれば生材と同条件になり腐りやすくなります。
木が腐るのは木材腐朽菌が木の成分を分解してしまうためです。
①適度な水分(湿気)②適度な温度③空気-この3つの条件が揃った時木材腐朽菌は活動しますが、ひとつでも欠けると木が腐ることはありません。
ウェスタンレッドシダーは最も腐りにくい樹種です。thujaplicnsという天然成分は赤身部分に強い防腐作用を与え、thujicacidは虫害を防ぐのに適当な効果があり、そのため耐久性が要求される屋根材、デッキ材、ネイティブカナディアンのトーテムポール、カヌーなどにはウェスタンレッドシダーが使用されています。
木に塗装するときに最も注意しなければならないことは「木の呼吸作用」を妨げないことです。合成樹脂系のペイントなどを使用するとヒビ、ハガレなどが起こります。また木材内部の温度が腐れの原因ともなります。
ウェスタンレッドシダーは他の針葉樹よりヤニがなく寸法も安定しているため、多種類の塗料(ペイント、ステイン、オイル等)を使用することができます。油性・水性いずれも使用できますが、水性の場合木材からの抽出成分の滲出を防止できるものを選んでください。
〇外装用塗料
ウェスタンレッドシダーの場合は土などに接する場所を除き、防腐・防虫剤の入った塗料は必要ありません。人体に安全な天然成分がベースとなった保存性を高めるための塗料を使用するのがよいでしょう。
〇内装用塗料
外装用に比べ風雨からの表面保護が要らないので多種多様の塗料を選ぶことができます。木の通気性を妨げない塗料であれば吸湿効果が得られます。
水回りの仕上げ材として木を使用する場合、水分・湿気をどう防ぐかがポイントとなります。塗装する場合も木の呼吸を妨げないような注意が必要です。浴室内に木を使用することはできるだけ避けたほうが賢明ですが、必要とする場合は施工上次の点に注意してください。
①水やカビに強い樹種を選ぶ。
②十分換気が行われるよう配慮する。
③木口部分から水がしみ込まないよう木口の目止め塗装をする。
④防カビ用の下地処理を行う。
⑤撥水性があり、木の呼吸を妨げない塗料を選ぶ。
ウェスタンレッドシダーは樹脂成分により防腐効果が高いため、設計、施工及び塗装に十分な配慮を行えば、木の香りに包まれた浴室空間を作ることも可能です。